ゲオルギイ・イヴァノヴィチ・グルジェフという方をご存知でしょうか。
彼は1866年頃アルメニア生まれの作曲家であり、舞踏作家、さらには神秘主義や、精神世界への興味をもち、中東、中央アジア、インド、北アフリカ等を旅し、各地から様々な影響を受けました。
1922年頃、歴史的な事情でパリに移り住み、文章や音楽など様々な分野でヨーロッパやアメリカなどで活躍します。

グルジエフの音楽はロシアの作曲家トーマス・ド・ハートマンとの共作でピアノ曲を作っています。
グルジエフが指一本で弾いたり、口ずさんだメロディをハートマンがアレンジや展開させていったといいます。
楽曲はエスニックな舞踏曲や聖歌やスーフィー音楽、バレエなど様々な側面があり、 そのサウンドはスピリチュアルで内省的で真摯な印象を受けます。
著名なジャズピアニスト、キースジャレットもグルジェフの曲を演奏した作品があります。





さて、タイトルの『The Gurdjieff Folk Instruments Ensemble』のディレクションを努めるLevon Eskenian(ルヴォン・エスケニアン) は1978年レバノン生まれ、現在はアルメニア在住の作曲家でピアニストです。
アルメニアのエレバン音楽院で修士号を取得しました。クラシックの分野での活動歴もあります。
彼はその後、中東やグルジェフに興味を持ち、グルジェフの音楽をアルメニアの民俗楽器で演奏するグループを結成し、ドイツのECMレーベルより作品をリリースしています。


2011年の作品 『Music of Georges I. Gurdjieff』
アルメニア起源と言われている笛のドゥドゥク、木管楽器のブルール、擦絃楽器のカマンチャ、アルメニアの伝統的な弦楽器のカノン、中東の打弦琴のサントゥールなどを使いグルジェフの神秘的な音楽を演奏しています。
グルジェフの元の曲がピアノ曲で現代の方が民俗楽器ということがとても面白いですね。とても胸に響く良い演奏です。
静かでスピリチュアルで美しいです。精神世界やスピリチュアルな部分を知られていることが多いので、現代にもこういった演奏が聴けるというのは貴重で感慨深いです。



2015年の作品 『Komitas』
名義にはグルジェフの名前が入っていますが、こちらの作品はアルメニアの作曲家、コミタスの作品集。
コミタスは1869年にトルコでアルメニア人の子として生まれ、幼少の頃、聖歌や民謡を歌い評判になり、アルメニア教会の神学校へ入学します。『コミタス』というのは修道名。
西洋の音楽理論を学ぶ為に音楽学校へも入学し、聖歌や民謡などの曲を残しています。
コミタスは教会に深い関わりも持っていますが大衆の文化や音楽からインスピレーションを受け、大事にしていたそうです。原曲は聴いたことがないのですが、この作品からは親しみやすくエキゾチックな印象を受ける、なんだか安心するような作品です。