Huong Thanh (フン•タン)はベトナムのホーチミン出身の歌手で、フランスに在住し活動をしています。
歌い方は実にアジア的で自然体で柔らかく、勝手ながら明朗な人柄を想像してしまいますね。
魅力的なのは歌だけではなくそのアレンジや幅広い要素を取り込んだそのオケは面白いものがたくさんあります。
ベトナム系のギタリスト兼、音楽プロデューサーNguyen Le(グエン・レ)の編曲や演奏をしているのですが、ジャズ的であったり、アフリカ楽器を使ってみたり、エレクトリックな音を絶妙に入れてきたり、ワクワクさせてくれます。


レベルの高い先鋭的な音楽をリリースし続ける、ドイツのACTレーベルというところからアルバムを発表しています。 このレーベルはワールド系などもあるのですが、ジャズなども多いですね。 そういった理由からか、ベトナムのエスニックな雰囲気と現代的なジャズのミックスしたような曲もあってとても好みです。愛聴してます。

『Moon & Wind』というファーストアルバム。これがHuong Thanhを初めて聴いたアルバムで、CDを再生してすぐ気に入りましたね。 いきなりカリンバが鳴り、カホンのゆるいリズムに、浮遊感のあるジャズギターとエスニックな歌。一瞬で魅了されてしまいました。少し哀愁もあるような、慈しみも感じるような、アジアの風景も見えるような幻想的な作品。 曲もメロディーも本当にどれも良くて間違いなく傑作ですね。



2007年ごろリリースの『FRAGILE BEAUTY』 フランスのリード系マルチ奏者、のSTEPHANE GUILLAUME / ステファン・ギョームがサックスを吹いていたり、琴、ダンバウ(ベトナムの一本弦の楽器)、Nguyen Leのギター、パーッカッションなどで構成されていますが、シンプルで洗練された現代的な印象も受けるアレンジの好盤。ゆったりとしたものからミドルテンポくらいまでで落ち着きます。



他にも数枚ACTレーベルのものがありますが。アレンジなどが似ている印象です。


2011年の作品『L’ARBERE AUX REVES』はエレクトリックな音などは使わず、全曲アジア的な民俗楽器での民謡のアルバムです。こちらはフランスの『Buda Musique』からリリースされています。
北、中央、南ベトナムの子守唄、労働歌、お祝い事や崇拝の儀式などに関連した伝統曲などを歌っています。こういった現代の比較的新しい音源は貴重だと思います。これまでヨーロッパでの録音、制作が行われることが多かったようですが、こちらはベトナムのサイゴンで録音されたということです。
エスニックさもかっこ良く、優しい雰囲気な曲も有りこちらもとても良いですね。ありがたい作品です。