1953年ギリシャのアテネ生まれの歌手Savina Yannatou(サヴィナ•ヤナトゥ)はギリシャ国立音楽院、ギルドホール音楽演劇学校などで音楽を学び、在学中にプロとしてデビューして以来、現在まで数々の作品の発表、ライブパフォーマンスを行ってきた歌手です。

音楽性は様々な経歴や側面が垣間見えます。
現代音楽、ジャズ、地中海近辺のアラブの音楽、ルネサンスとバロック音楽など。
声楽を学んだ経験があるとのことですが、ナチュラルな歌い方でありながら、神々しく透き通るような美しい声ですね。

作品については現代音楽などの要素もありますので、前衛的な雰囲気なものもあれば、
親しみやすいものもあります。いくつかご紹介したいと思います。

2015年の作品『Songs Of Thessaloniki』
アテネに次ぐギリシャの2番目に大きな都市テッサロニキに伝わるトラディショナルな音楽を
聴かせてくれます。テッサロニキ港は南東ヨーロッパにおいて重要な商業や政治の拠点であったのため、様々な地域の影響があるのでしょう。エキゾチックに感じる曲もありました。
主に弦楽器、アコーディオン、フルートなどの編成でリズム要素はあまりありません。
リリースしているレーベルのカラーの影響が大きいと思いますが、全体的に少し暗めでしょうか。



2007年の作品『Songs of the Mediterranean』
こちらは地中海から中近東あたりのトラディショナルな音楽を聴かせてくれます。
ダラブッカ(主に中東で使われるパーカッション)、ネイフルート、ウード、バイオリンなど多くの楽器を使いエキゾチックな雰囲気ですね。
全体的に非常にバランスのとれた素晴らしいアルバムだと思います。
彼女の涼しげな声とアラビックな雰囲気のあるおすすめの作品です。



2007年の作品『Traditional lullabies』
ギリシャ、イタリア、などの子守唄を歌ったアルバム。
Nikos Kypourgos(ニコス•カピリディス)のアレンジで聴かせてくれます。
リュート(ギター状のヨーロッパの古楽器)やストリングスなど雰囲気はヨーロッパ的なものが多いです。
ポップで親しみ易く落ち着くような、とてもいい作品です。
日本では現在CDなど音源がなかなか手に入りにくい状態かもしれません。


すべての作品に強烈な美意識を感じる芸術的な歌手だと思います。